生成AIディバイドの実証 — 誰がAIを使い、誰が使わないのか
生成AIディバイドの実証 — 誰がAIを使い、誰が使わないのか
生成AIの普及により、新たな形のデジタル格差――AIディバイド――の出現が懸念されています。私たちは2025年1月に日本の成人13,367名を対象に、誰が生成AIを利用しているのか、利用しない人はなぜ使わないのかを調査しました。
分析の枠組みには、デジタル不平等研究の古典理論であるResources and Appropriation Theory(RAT)を採用し、(1)個人要因(年齢・性別・性格特性・健康状態)、(2)位置的要因(学歴・職業・居住地)、(3)資源的要因(所得・社会参加・デジタルリテラシー)の3次元から検討しました。
その結果、調査時点で生成AIを利用していたのは21.3%にとどまり、利用は若年・男性・高学歴・高所得・都市部居住・デジタルリテラシーの高い層に偏っていました。さらに性格特性(開放性・協調性)や心理的苦痛・孤独感とも関連が見られ、AI利用は単に技術的アクセスだけでなく、心理的・社会的条件にも左右されることが示されました。
一方、非利用者の約4割が「必要ない」と回答しており、最も多い壁は「技術的障壁」ではなく「必要性を感じない」という認知でした。ただし「必要ない」と答える背景は人によって異なり、若年層は「魅力的なサービスがない」を、高齢層は「使い方がわからない」「セキュリティが不安」を挙げる傾向が見られました。
これらの結果は、生成AIへの参入段階で既に、既存の社会経済的・心理社会的格差を反映した第一・第二レベルのAIディバイドが生じていることを示しています。
Nakagomi A, Abe N, Tabuchi T. Emerging generative AI divide: Personal, positional, and resource-based factors associated with use and reasons for non-use. Telematics and Informatics. 2026;104:102360. https://doi.org/10.1016/j.tele.2025.102360