1990年代以降のインターネット普及、2010年代以降のスマートフォン普及、そして2020年代の生成AIの登場——デジタル技術の波は加速度的に押し寄せ、私たちの生活を便利にしてきました。
しかし、その恩恵は誰にでも等しく届いているわけではありません。デジタル技術を使いこなせる人とそうでない人との間に、新たな格差——デジタルディバイド——が生まれます。情報へのアクセス、健康サービスの利用、社会とのつながり、就業機会、行政手続き。デジタル化が進むほど、その差は健康格差へと変換されていきます。
私たちは、デジタルディバイドが健康にどう影響するのか、そしてどうすれば「誰一人取り残さないデジタル社会」を実現できるのかを、実証研究と理論研究の両面から探究しています。
デジタルディバイドは、もともとインターネットへの**アクセス(第1レベル)の有無として議論されてきました。その後、利用できる人の間でも使いこなし方や活用方法(第2レベル)で差が生じ、さらに、デジタル技術の活用が社会経済的な機会・資源・成果(第3レベル)**の格差につながることが明らかになってきました。
こうしたデジタルディバイドは、2つの経路で健康に影響します。直接経路は、健康情報・医療サービス・オンライン診療などへのアクセスや活用の差が、直接的に健康行動や受療行動を変えるルート。間接経路は、デジタル技術の活用が学歴・就業・所得などの社会経済的地位を左右し、それを通じて健康格差を生むルート。デジタル化が社会の隅々まで浸透するほど、両経路は強まり、デジタルディバイドは健康格差の主要な決定要因となります。
私たちは、このデジタルディバイド → 健康格差の構造を実証的に解明してきました。そして現在、その問題意識は新たな段階——AI格差——へと展開しています。